地域医療の取組(研修制度)

研修制度(地域医療人の育成)

初期研修医プログラム:プログラム概要

プログラムの目標

【到達一般目標】 保健・医療・介護・福祉が一体となった地域包括ケアを修得し実践する

プログラム概説

本プログラムは、地域保健・医療研修の中で保健・医療・介護(福祉)が一体となった地域包括ケアを修得するために、各研修場面での医師の診療活動および医療関連専門職との連携をコアバリューとする専門職連携教育プログラムである到達すべき一般目標は次の通りである

  1. 保健・医療・介護・福祉の総合的視点をもって患者様個別のニーズに対応した保健予防活動・診断・治療・コンサルティングを考える基本を身につける
  2. 医の倫理に基づき日々の診療および連携を実践できる(利用者権利行使支援・安全・満足・科学的根拠・公開を保証された医療の提供)
  3. チーム医療(仁寿会チームスピリットTEAM:Trust for patient信頼し尊敬しあおう・Empowerment(Exchange information効果的コミュニケーション)情報を共有し、学びあおう・Attitude行動志向の明るく楽しく寛容な態度を選ぼう・Mission患者様中心の医療を実践しよう)を実践できる
  4. 包括的在宅医療(包括的在宅療養支援:終末期のケアを含む)を理解し、実践できる
  5. 日本の社会保障制度における医療保険制度・介護保険制度を理解し、行政と連携して、地域の保健医療計画の立案・実行に参画できる

一般目標・行動目標一覧

一般目標
指導医として評価すべき重要な“あるべき姿”
行動目標
教育介入によって期待される具体的な行動変容
保健・医療・介護・福祉の総合的視点をもって患者様個別のニーズに対応した保健予防活動・診断・治療・コンサルティングを考える基本を身につける 地域医療における価値を記述できる
地域でいかに生活するかという視点から治療を考えることが価値あるものと評価できる
生活環境、経済的環境にも配慮した医療を行うことが価値あるものと評価できる
地域における健康づくりのメンバーとして参加し、計画立案、行動ができる
地域ケア会議、担当者会議、病床管理部会等病院の内外を問わず主治医として必要な会議に参加し、意見を述べ、退院後の生活にも配慮した退院計画を立案できる
主治医意見書を記載できる
生活習慣病予防のための講演会で講演できる
食事・運動・休養・飲酒・禁煙指導とストレスマネジメントができる
予防接種の種類を列挙できる
予防接種において安全・確実に行うため必要な手順(問診・説明・同意・確認)をもれなく行い実施できる
予防接種における健康被害への対応を行える
地域や職場において実施されている健診について列挙し説明できる
基本健康診査が実施できる
基本健康診査の結果を判定できる
基本健康診査の結果を説明し、指導できる
労働者の安全衛生活動、児童・生徒の学校保健活動を経験する
医の倫理を日々の診療および連携において実践できる(利用者権利行使支援・安全・満足・科学的根拠・公開を保証された医療の提供) 医の倫理(安全対策、感染対策、身体拘束ゼロなど含む)について記述できる
個人の尊厳を守り安全を最優先させるため専門職が連携する組織横断会議・委員会に参加し意見を述べることができる
チーム医療を実践できる 仁寿会チームスピリット(TEAM: Trust for patient信頼し尊敬しあおう・Empowerment(Exchange information効果的コミュニケーション)情報を共有し、学びあおう・Attitude行動志向の明るく楽しく寛容な態度を選ぼう・Mission患者様中心の医療を実践しよう)を列挙できる
総合医療支援委員会、NST・リハビリカンファレンスなど、専門職が連携する会議に参加し、他のスタッフの意見に耳を傾け、自らの意見を述べることができる
専門職連携診療を実践できる
包括的在宅医療(包括的在宅療養支援:終末期のケアを含む)を理解し、実践できる 医療の実践において専門職連携の重要性を最大の価値のひとつと位置づけることができる
在宅医療に関わる医療関連専門職のできること・役割を説明できる
診療の場が他家であることに留意し、患者・家族の心情に配慮した診察が行える
在宅医療3分野を述べることができる
訪問診療と往診の違いを述べることができ、両行為を実践できる
訪問診療の実施について必要事項を本人・家族に説明できる
在宅療養計画書・訪問看護指示書・訪問リハビリ指示書を記載できる
在宅終末期ケアの開始条件をチェックできる
在宅医療に必要な医療機器、薬剤について述べることができる
緩和ケア(WHO方式がん疼痛治療、終末期の諸症状からの開放法を含む)に参加できる
在宅医療における感染予防について家族に指導できる
終末期を迎えた患者、家族の心情を理解し課題を解決できる
患者・家族の心理社会的側面への配慮を説明できる
(告知をめぐる諸問題への配慮・死生観への配慮・宗教観への配慮)ができる
日本の社会保障制度における医療保険制度・介護保険制度を理解し、行政と連携して、地域の保健医療計画の立案・実行に参画できる 医療保険制度を説明できる
介護保険制度における介護認定の仕組みを説明できる
在宅復帰、社会復帰や地域支援体制としての介護保険居宅系サービス(居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、通所介護、通所リハビリ、グループホーム等の各事業)を経験し、その役割を説明できる
ケアマネージャーの照会に対し適切な意見を述べることができる
介護保険施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、等)を経験し、その役割を説明できる
保健・医療・介護(福祉)が一体となったサービスを立案・提供することができる

理念・方針

実習理念

我々は実習を通じこうありたい、こうなるために実習に参加するのです

一、教えることは学ぶこと、学ぶことは教えること

一、地域医療人育成に貢献する

実習方針

一、ありのままの地域医療をいつものように実践する

一、仁寿会チームスピリットに基づきよりよい専門職連携を実践する

一、仁寿会行動指針に基づき実践する

仁寿会チームスピリット

専門職連携はこのスピリットを共有することからはじまります

TEAM
Trust for patient:信頼し尊敬しあおう
Empowerment(Exchange information効果的コミュニケーション):情報を共有し、学びあおう
Attitude:行動志向の明るく楽しく寛容な態度を選ぼう
Mission:患者様中心の医療を実践しよう

仁寿会行動指針

1 いつもあいさつする

あいさつはコミュニケーションのはじめの一歩である人に出会ったとき、人とすれ違うとき、ドアを開けたとき、ドアを閉めるときあいさつをするできれば一言二言でも情報を交換し合おう

2 よろこんで引き受ける

「よろこんで」引き受けてもらうことは誰にとってもありがたいほっとする頼まれたことはまず「よろこんで引き受けます」と言おう引き受けることができないときは、代わりの人、解決策など提案しようその次にはすすんで引き受けよう遠慮なく頼み、よろこんで引き受けることのできる風通しのよい組織にしよう

3 ひとをほめる

誉められることは誰にとってもうれしいまた次に挑戦しようという気になる誉めることはとても難しいそれを簡単にやってのけよう、尊敬の念と共に

4 いつも笑顔でいる

笑顔は健康の証であり、人を安心させる態度である健康を提供する私たち自身が健康でいよう健康とは精神的、肉体的、そして社会的に調和のとれた状態であるそんな状態のとき最高の笑顔になれるその逆に笑顔をみせつづければ健康になれる健康は人にとって最も大切であるいつも笑顔でいようまた仕事のプロとして、その能力のひとつである態度能力の高さを示そう

5 ありがとうを集める

ありがとうといってもらえる、そんな行動を取ろうありがとうを期待するのではないその行動の結果「ありがとう」といってもらえるのだ

6 成長する

私たちは学習し成長する教えて成長する日々成長する目標を立てるから成長していることがわかる成長は人にとって大きな喜びであるいつも成長を喜び合おう

7 課題を改善・解決し、挑戦し続ける

現場で課題を見つけ、現場で提案し、現場で解決する課題を解決すればまた挑戦できるこの繰り返しが仕事であるあきらめないこと継続は力となり、自信になる

8 誠実に倫理・法令・環境を守る

人にとって守らなければならないものは少なくない医療法人仁寿会の職員にとって守るべきはこの3つである誠実にひたむきに守ろう

指導方針

指導者が学習者に対しすべきこと

  • 歓迎する
    • 自己紹介、自身の職業・資格をわかりやすく説明する
  • 快適な環境を整える
    • 質問しやすい雰囲気、お茶、空調、手洗いへの配慮など
  • 学習者とともに到達可能な目標を設定する
  • 興味を湧かせる質問をする
  • 参加させる
    • 傍観者にさせない、受動的立場に閉じ込めない
  • 成長していることをモニターしフィードバックする
  • 元気を与える
    • 視線を合わせ明るい態度で接する、自身の職務上の喜びをひとつ説明する
  • 自身が患者様に言われた(ほめられた)よいことをひとつ説明する 
  • 自身が今研修していることを3分間で説明する
    • 生涯学習の喜びを伝える、自発性を高めることが真の教育なり
  • 時間を与える
    • 特に学習者に対し質問したあと学習者が答えるまでの時間
  • 持ち帰るべきメッセージを繰り返す 

指導者が学習者に対しすべきでないこと

  • 準備不足であることを見せる
  • ○×式の単純な質問を繰り返す
  • 学習者に求めていることを曖昧にする
    • 学習者のニーズにあった学習目標を学習者と共に設定する
  • 参加させない
    • 傍観者にする、受動的立場に閉じ込める
  • あらさがしをする
  • フィードバックを適時に行わない
    • 最後の評価まで取っておく
  • 恥をかかせる

研修スケジュール例

スケジュールの例は以下のページをご覧下さい。

具体的な指導方法の例示

指導方法の例は「初期研修医プログラム:具体的な指導方法の例示」のページをご覧下さい。